石川県は、屋外広告物のあるべき姿を求めて、全国でも早くから、先進的啓発活動を進めてきました。屋外広告物だけに留まらず、建築物のデザインや街並みを含めた総合的な景観の啓発を積極的に取り組んでいます。その成果が、来訪の方々から美しい格調ある街の好感的印象を多く聞かれます。自然景観であり、暮らしの文化景観や歴史景観です。地域の景観は、文化と経済の社会活動として目に見える形で、建築や広告に現れます。地域の文化力が見えます。
石川県知事賞公共部門の「松任総合運動公園ウォーキングコースサイン」は、自然の緑豊かな中でも、視認性を保ちつつ緑系の見取り図で構成され、やさしく訴求しています。再生板材の縦格子構成も、快いリズム感があり優れています。知事賞民間部門の「眠りにまっすぐ乙丸屋」は、建物と外構の一体感ある白黒トーンが、街並みにアクセントを作り、店名ロゴは夜間照明に柔らかく浮かびます。金沢市長賞の「重光商事株式会社」は、昼夜ともに美しい縦格子の優れた建築デザインです。自立型の屋外広告デザインは、建築物とのバランスを考慮した低い構造物とし、シンプルな曲線造形をスモークガラスで仕上げています。石川県屋外広告業協同組合理事長賞「すずや金沢店」は、現代建築に大胆に使われた白い布が美しく、日本伝統の暖簾を模したサインです。
近年の作品群は、優れたデザイン感性と素材の特徴を魅力的に展開され、バランスのとれた秀作が多く見られます。しかし、木場潟カヌー競技場サインのような挑戦的な作品が少なくなりました。景観をしっかり活かしながら魅力ある街づくりの役割もあることを期待します。
審査委員長 大場𠮷美(金沢学院大学名誉教授)
概要
│目的 石川県内の都市景観の向上と屋外広告物に対する県民の関心を高めることを目的とする。
│主催 いしかわ広告景観鑑賞実行委員会(石川県、金沢市、石川県屋外広告業協同組合)
│後援 石川県市長会、石川県町長会、石川県商工会議所連合会、石川県商工会連合会、(公社)石川県観光連盟、(一社)石川県建築士事務所協会、石川県中小企業団体中央会、(公財)石川県デザインセンター、石川県ビジュアルデザイン協会、(公財)いしかわまちづくり技術センター、(一社)日本屋外広告業団体連合会、石川県屋外広告士会(順不同)
│募集対象 過去3年間に石川県内に設置された屋外広告物。但し、はり紙、はり札、立看板等簡易なもの及び法令の規定により設置するものは除く。