審査総評
本年の作品には、今日の多様な価値観を反映した多彩な作品が見られました。
単体の作品が中心となる中で、商店街の個店舗の連続性を活用したシンプルなデザインに好感が持たれました。また、日々の変化する情報を視認性高く提示すべく、屋外広告サインとして工夫されている作品などもあり、設置されている環境を考慮しつつ、調和がとれていること、形・色彩のデザイン性、そして確かな技術力はもちろん、明快なメッセージ性を伴う優秀な作品が多く見られました。
応募作品の大方は、グラフィックデザインと建築デザインの双方からの視点で制作される傾向を感じました。もうひとつの印象は、素材感です。伝統的な素材である木や金属に、現代的な透明感のあるガラス材、LED等の新製品が加わってきています。しかし、素朴な素材感を格調高く使用されていた作品も好感が持たれました。
今後は、映像なども加わり、益々多様な作品が現れると思われますが、今後とも最も大切にしたい視点は、生活者の視点です。景観デザインのあるべき姿を、関係する各位と共に深く試行を重ねて、豊かで誇りが持てる地域づくりを進めていかれるように期待します。
審査委員長 (金沢学院大学教授)
大場吉美